カラーコーディネーターという資格とゲーム制作
こんにちは。こんにちはと言ったものの、この記事を上げる頃には確実にこんばんはの時間ですね。もしかしたらおはようございますかも。これはまずい…!
はい、CCS†裏†アドベントカレンダー25日目、大トリの℡です。裏はやたらR-18率が高いですね。
前日24日の記事はかいと先輩です(先輩ではない)。服について分かる人が周りにいなすぎるので、僕も結構彼に頼ってます。しかも服を売ってくれる。
改めまして、15入学・CCS前会長の℡です。先月会長職の任期を終え、無事老害になりました。
早速でもないですが本題の記事の話に移りましょう。僕は12月初頭に「カラーコーディネーター」という資格の試験を受けました。一番下の級だけど。その資格の勉強とゲーム制作で繋がるところをかいつまんでお話ししていけたらな、と思います。どうぞよろしくおねがいします。
ちなみにまだ合否通知は来ていません。
多分受かってます。多分。
はじめに
この記事がどんな人向けなのかを説明していませんでした。この記事は、ゲーム制作における「画面づくり」に視点を定めて書いていくつもりです。したがって、ゲーム制作関わる人すべてにとって、少なくとも無益ではないものになると考えています。
難しい話はしませんので、どうかお付き合いいただければ幸いです。
また、途中で色の例を出しますが、ディスプレイの発色によって色の見えは変化するので「だいたいこんな感じ」くらいの認識でよろしくお願いします。
カラーコーディネーター検定試験について
カラーコーディネーター検定試験は、東京商工会議所が認定する、民間の資格試験です。この検定を受けるに至った経緯についてお話しします。
カラーコーディネーターって何?
さて、まず最初に知っていただかなければならないのは「カラーコーディネーター」とはなんぞや?ということです。それでは…
カラーコディネーターは、主に住宅やホテル、レストランなどのインテリアや、ファッション、デパート、ショップの商品デザインやディスプレイ、建築、土木景観などで色彩、配色などについて助言をする専門家、コーディネーターのこと。カラーアドバイザー、カラーコンサルタントとも言う。
Wikipedia先生、ありがとうございました。1文目から誤字ってますが気にせずいきましょう。
ところで、はてなブログってはてなキーワードに勝手にリンク飛ばしてくれるんですね。はてなキーワード「カラーコーディネーター検定」も見てみると良さげです。
要は、カラーコーディネーターとはすなわち「色遣いの専門家」である、ということです。これだけ把握してもらえればOK。
なぜこの検定を受けたのか
Q. おめぇプログラマーじゃん!
A. わかる。
明らかにデザイナー向けって感じの検定ですもんね。そこも含め以下でお話しします。
- 就活で書く・話すネタ
現金なことですが正直な話、きっかけとしてはこれが大きいかと。現在なぜかもう就活が始まり、そして終わりかけているわけですが、僕は「プログラムだけでなくエフェクトなどの演出も頑張ってます!」ってのを押し出すスタンスで御社ァを殴ってきました。しかし、ただ「頑張ってます!」ではイマイチ説得力がない。そこで、「こんな資格持ってます!」「こんな勉強をしました!」というネタになるのが資格試験だと思い至ったわけですね。まぁ結果が帰ってこないからまだ資格持ってないんだけど - ゲーム画面の配色を「なんとなく」以上のものに
もちろん、就活ネタのためだけにこの検定を受けたのではありません。ちゃんとゲーム制作でも役に立つであろうものを選びました。
結構な数のCCSプログラマーに共通することだと思いますが、CCSにおいてプログラマーはゲーム画面全体を管理することが多いです。図形描画関数ないしはフォトショ等で作った素材からUIを作ったり、絵描きに作ってもらった単品素材を配置して、フィードバックを返したり。
そこでプログラマーの仕事として必要になってくるのが「画面の配色」です。ゲームをやってきた人なら、これまでの経験から「なんとなく」でも悪くない配色をできることもわりとありますが、何か理論とか法則性があるなら知っておきたいですよね。
まとめると、「CCSのプログラマーはデザイナーとしての一面も持つ。そこを強みに」。そういうことです。
どんな勉強をするの?
僕が受験した「カラーコーディネーター検定試験 3級」で問われる内容を大雑把にお話しします。僕が試験勉強に使った本に沿って軽く説明していきます。試験対策どうこうは置いといて、単純に読み物としても面白かったです。ステマじゃないです。マジ。
色の役割
色は大きく分けて2つの役割を持ちます。
- 機能的役割
信号機や虎ロープなどがこれにあたります。人工物以外では、食品の鮮度の判断なども色の機能的役割によるものです。 - 情緒的役割
好きな色やイメージカラー、メイクで美しく見せるといったことが当てはまります。色は感情を引き起こすことができるんですね。
これらの役割を理解した上でうまい具合に配色を行う、これがカラーコーディネーターの目指すところです。
色の心理効果
色は人に様々な心理的効果をもたらします。特にわかりやすいものが「連想」です。
連想には具体的連想と抽象的連想の2つの側面があります。例えば、赤なら…
- 具体的連想: 太陽、バラ、血、…
- 抽象的連想: 情熱、激しさ、…
こんな感じです。ゲーム制作においては後者の方を意識するとよいでしょう。
また、色の三属性(色相、彩度、明度)と心理的効果を対応付けることもできます。三属性から受ける印象、と言い換えてもよいでしょう。
- 色の寒暖感: 色相。暖色系、寒色系という言葉は多くの人が聞いたことがあるはずです。赤~黄は暖かい印象、水色~青紫は冷たい印象を与えます。
- 色の軽重感
- 色の硬軟感
- 膨張色と収縮色
3つとも明度。明るい色は軽く・柔らかく・大きく、暗い色は重く・硬く・小さく感じます。3つ目に関しては碁石の話が有名ですね。白・黒で見た感じは同じですが、直径は微妙に黒のほうが大きいそうです。
色の表示方法
色を客観的に表す方法を学びます。ゲーム制作とは関係が薄いと思うので、今回は置いておきます。興味のある方は「カラーオーダーシステム」で検索してみてください。
色彩調和と配色
どのような配色を行うと調和が取れて美しいのか、ということを学びます。前述の色の心理効果と並んで、ゲームの画面づくりに欠かせないものです。
まず、このパートで使う「色相」「トーン」について説明します。色相は多くの人が聞いたことはあるでしょう。赤、青、黄、緑といった、色の様相を表します。一方、トーンは、明度と彩度を内包した概念です。
試験に出る色彩用語(色彩検定、カラーコーディネーター対応) より
かつて様々な研究者たちが色彩調和について研究し、各々の調和論を発表してきましたが、今回はその1つ「ジャッドの調和論」をご紹介します。
ジャッド(1900~1972)はアメリカの色彩学者でうんぬん…という話は置いておいて、どんな配色が調和するのか、という話に入っていきましょう。彼は色彩調和の以下の4つの原理を指摘しました。この見解は50年以上前のものですが、現代においても商業などの現実的な場面で通用するものとなっており、知っておくに越したことはありません。
- 秩序の原理
「等間隔性で成り立つ色空間から、秩序のある、または単純な幾何学的関係によって選ばれた色の組み合わせは調和する。」
さて、1つ目から何を言っているか今ひとつわかりませんね。簡単に言えば「色相環上の幾何学的位置関係にあればOK」です。下の画像を例にすると、「R1, Y2, B2」の組み合わせや「R3, G2, B3, P5」の組み合わせは調和する、ということですね。 - 親近性の原理
「自然界に見られる色の変化やその有機的連鎖における配色のように、通常、見慣れた色の組み合わせはなじみやすく、調和する。」
これはわかりやすいですね。ただ、具体的にどんな色、というのは想像しにくいのではないでしょうか。ここでの「自然な配色」とは、「明るい色は黄色へ、暗い色は青紫へシフトする」ということを言っています。芝生の日向と日陰でどんなふうに見えるかを思い出してみましょう。日向では黄緑、日陰では深緑に見えているかと思います。
- 共通性の原理
「構成された配色間に、ある種の共通性や類似性がある色の組み合わせは調和する。」
ある種のって何だよ!!→ここで出てきます。色相とトーン。「色相またはトーンが同じ/近い配色は調和する」ということです。色相が共通・類似な配色を色相ドミナント、トーンが共通・類似な配色をトーンドミナントといいます。
- 明白性の原理
「配色が曖昧でなく、明確で安定して見えるなら調和する。」
それぞれの色がはっきりと知覚できることを評価します。ではその基準は?
人間は色の三属性のうちで、最も明度によって色の差を感じています。したがって、明度差がある程度大きい色の組み合わせが好ましいわけです。
本当はジャッドの調和論以外にもいろいろやるしゲーム制作においても有用なのですが、ここを書いている時点で12月25日が残り1時間半を切っているので許してください。本貸しますから。
光と色
光の物理的現象についてです。割愛します。
眼の仕組みと色知覚
眼球→視神経→脳と、情報が処理される過程や、目の錯覚等の脳の処理によって起こる現象について学びます。興味深い分野ではありますが、今回は割愛します。
測色
色を比較したり数値化するといった、測色の方法を学びます。今回は割(ry
混色と原色
加法混色、減法混色、中間混色について学びます。簡単にまとめます。
- 加法混色
加法混色の原色はR(赤)G(緑)B(青)です。2色のRGB値をそれぞれ加算した値が、混色後のRGB値です。いわゆる光の三原色です。
ゲームで光の表現をするならコレ。レーザーとか炎とか、使い所はめちゃめちゃ多いです。 - 減法混色
減法混色の原色はC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)です。絵の具で色を混ぜる時は減法混色です。理論上は3原色を混ぜ合わせれば完全な黒ができるのですが、実際は完璧な色材というのはなかなか作れません。したがって、印刷などではCMYに加えてK(黒)を原色とすることが多いです。
半透明な物体で光を遮る時なんかは減法混色で計算します。ただ僕はゲームで使ったことないですね… - 中間混色
上2つに比べると聞きなれないですね。中間混色は「円盤の右半分を赤、左半分を黄で塗って高速回転させたら?」と想像してみてください。オレンジ色になりますよね。こんな風に、一番想像しやすい混色だと思えばいいかなーと。うわぁざっくり。
文化と色彩
文化と色彩のつながりを、日本の歴史、絵画の歴史、日本の製品の歴史の3つの観点で学びます。歴史全然わからないマンとしては、ここの分野の勉強が一番苦しかったです。
ゲーム制作においては、世界観の表現という点で役立つかと思いましたが、よく考えたら日本ばかりですね。和風な雰囲気のゲームを作るなら、って感じでしょうか。ということで、日本の各時代の特徴を示す色を紹介して終わりにしようと思います。そろそろマジで25日が終わる。
- 原始時代
染料とか無いです。白、黒、赤。これが世界共通で存在する「未開社会」の色です。 - 古墳時代
原始時代の白、黒、赤に青、緑が加わります。古墳の壁画に使われる色ですね。 - 飛鳥時代
仏教伝来。金色の仏像が登場しました。 - 奈良時代
仏教芸術。蘇芳、刈安、橡(つるばみ) - 平安時代
宮廷文化。若楓、櫨紅葉(はじもみじ) - 鎌倉時代
甲冑芸術、金属工芸品。勝色(かついろ)、海松色(みるいろ) - 室町時代
刀剣芸術、能と水墨画。柿色 - 桃山時代
金碧障壁画、茶道芸術。 - 江戸時代
歌舞伎芸術。芝翫茶(しかんちゃ)、梅幸茶(ばいこうちゃ)、路考茶(ろこうちゃ)、鼠色 - 明治・大正時代
欧風化。肉色
ものすごく駆け足になってしまいました。歴史に関しては僕より知ってる人はそのへんにいくらでもいると思いますので、平にご容赦。
終わりに
長々と書いてきましたが、時間が本当にヤバいのでここで筆を置くことにいたします。僕の拙い記事を最後の最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました!
検定を受けるかどうかは置いといて、CCSのゲーム制作者のみなさんが少しでも色の面のデザインに興味を持っていただけたら幸いです。そして願わくばゲーム制作で活かせる場面が訪れますよう…!
CCS†裏†アドベントカレンダー25日間、本当にお疲れ様でした。
メリークリスマス!!